◆関連法案を秋の臨時国会に提出へ
厚生労働省の労働政策審議会は6月9日、「同一賃金同一労働」に関する法整備について検討してきた結論を報告書にまとめました。
これを受けて政府は関連法案をまとめ、秋の臨時国会に提出する予定です。
以下では報告書の骨子を紹介します。
 
◆短時間労働者・有期契約労働者の待遇差の「考慮要素」を明確化
待遇差が不合理と認められるか否かの判断は、個々の待遇ごとに、その性質・目的に対応する考慮要素で判断されるべき点を明確化し、「待遇の性質・目的」は実態を踏まえて判断されるものと考えられることに留意が必要としました。
また、「考慮要素」として内容を明記すべき事項として、新たに「職務の成果」「能力」「経験」を明記します。
なお、現行法においては短時間労働者についてのみ規定されている「均等待遇規定」を、フルタイムの有期契約労働者についても対象とすべきとしています。
 
◆派遣労働者の待遇決定の方法は選択制に
派遣労働者の待遇を決める方法として、(1)派遣先の労働者との均等・均衡による待遇改善、(2)労使協定による一定水準を満たす待遇決定による待遇改善のいずれかの選択制とします。
具体的には、(1)については、派遣労働者と派遣先労働者の待遇差について、短時間労働者・有期契約労働者と同様の均等待遇規定・均衡待遇規定を設けたうえで、派遣元事業主がこの規定に基づく義務を履行できるよう、派遣先に対し、派遣先の労働者の賃金等の待遇に関する情報提供義務を課すとともに、派遣元事業主は、派遣先からの情報提供がない場合は、労働者派遣契約を締結してはならないこととします。
また、(2)については、派遣元事業主が、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数代表者と話し合い、十分に派遣労働者の保護が図られると判断できる労使協定を締結し、当該協定に基づいて待遇決定を行うこととしています。
そして、(1)(2)のどちらの方式によるかを派遣先や労働者が知りうるようにすることなどについても必要な措置を講ずることが適当だとしています。
 
◆労働者に対する待遇に関する説明の義務化等も
さらに、短時間労働者・有期契約労働者、派遣労働者のいずれに対しても、労働条件や待遇についての説明義務を厳格化するとともに、労働者が事業主に対し説明を求めたことを理由とする不利益取扱いを禁止することが適当としています。
 
この他、行政による裁判外紛争解決手続の整備等や有期契約労働者の就業規則作成・変更時の意見聴取(努力義務)などが盛り込まれました。